薄原

すすきはらわけいるすきのなかりけり

巨大な風力発電風車と銀色に輝く芒の穂。風はそのどちらをも意のままに動かす。人間の出る幕はなさそう。

一筋の

ひとすじのもくどうひかるはなのかな

花野と言うにはまだ早い８月下旬の湯の丸高原池の平湿原

古木撫す

こぼくぶすうろにもみじのひとはあり

荒々しい古木の肌触りを感じていると洞（うろ）があり
その中に色づいた葉っぱを見つけたときは何か秘密めいた気持ちになったのは・・・・

茅葺に

かやぶきにけむりたなびきあきいりひ

囲炉裏の煙が屋根からそこはかとなくあがり
秋の日は暮れていく。

たちまちに

たちまちにくれてかぜふくはなのかな

長野県富士見町入笠湿原。
夏の喧騒が去り、湿原は秋色を濃くする。

野仏の

のぼとけのすそものいろこしあきのあめ

信州下諏訪宿　諏訪大社下社の脇にひっそりと佇む。

旅に出づ

たびにいづつまのめがねやあきともし

部屋ごとに眼鏡を置き、旅に行ってくると
そのうちの一つだけ持って出たはずが・・・

両の手に

りょうのてにそそぎこぼるるぼうのつき

万物にあまねく降り注ぐ蒼き光。
昼間と見紛うほどです。

侘び寺の

わびでらのひなたひかげにまんじゅしゃげ

伊那三十三番札所　
曹洞宗　水明山嶺岳寺の境内には
今を盛りと咲き誇っていた

雲映す

くもうつすいけにさざなみあきたちぬ

長野県茅野市北山奥蓼科にある池「御射鹿池（みしゃがいけ）」
東山魁夷画伯の名画「緑響く」のモデルの池である